森万里子「Tom Na H-iu」

2006年4月21日(金)- 6月3日(土)
期間: 2006年4月21日(金)−6月3日(土)
開廊日時: 12:00-19:00 *会期中 日・月・祝日休廊
展示作品: すべて新作。大型彫刻1点、ドローイング数点
協力: 東京大学宇宙線研究所

森万里子は日本を代表するアーティストとして、現在はNYを拠点に国際的に活躍中。海外の美術館等での個展も多数開催しています。 90年代半ばより活動を始め、日本の都市空間を主題に本人が演ずる近未来的な少女像の写真作品で注目を集めました。その後より深遠でスピリチュアルな思考へと移行していき、近年は大規模でクオリティの高い立体作品を制作。新作の発表ごとに常に話題となっています。
最近の主な個展に1999年プラダ文化財団、2002年東京都現代美術館、2004年東京大学総合研究博物館小石川分館など。2005年ベニス・ビエンナーレで代表作の「Wave UFO」が展示されて好評を博した事も記憶に新し いところです。


本展のタイトルでもあり展示作品名でもある「Tom Na H-iu」(トムナフーリ)とは、古代ケルトにおける霊魂転生の場であり、この場所で魂は次の転生までの永い時を過ごすと考えられたそうです。そんな伝説と古代の人類があらゆる場所でモニュメント「スタンディングストーン」(石柱)を建立していたという史実に触発され、森万里子は生と死を象徴する現代における新たなモニュメントを作成することを試みました。
作品「Tom Na H-iu」は、高さ3メートルにおよぶガラスの立体で、神岡宇宙素粒子研究施設(スーパーカミオカンデ)と接続したコンピューターにより超新星爆発(星の死)の際に発せられるニュートリノが通過するときに発する光を検出、受信に応じてインタラクティブに美しく発光します。
「Tom Na H-iu」は星の死を映し出し、またその後の誕生を暗示する現代の「スタンディングストーン」であり、私たちが宇宙と共鳴し合いながら存在していることを示唆してきます。暗闇の中で静かな光をたたえるこの作品を鑑賞するとき、私たちは永遠の時の流れのなかにたたずむ自身の姿を投影するのではないでしょうか。


日本で久々に発表するスケールの大きな森万里子の新作に是非ご期待ください。

Tom Na H-iu 2006 Mixed media 327.6 x 115.4 x 39.8 cm photo by: Richard Learoyd
Tom Na H-iu 2006 Mixed media 327.6 x 115.4 x 39.8 cm photo by: Richard Learoyd