塩保朋子
「Cosmic Perspective」

2015年1月16日(金)- 2月21日(土)
期間:2015年1月16日(金) - 2月21日(土)
開廊日時:12:00-18:00 *日・月・祝日休廊
展示作品:インスタレーション、平面作品など8点(予定)

一枚の葉の葉脈を切り抜いた学生時の体験から制作の着想をえた塩保朋子は、水や泡、細胞などの増殖する自然のモチーフを、カッターやハンダごてで細かく穿孔する綿密な作業の繰り返しによって作品を構成しています。屹立する一枚のスクリーンは、作品が映す影と光の対をつくりだし、窓から吹き込む風の対流や光の粒子など、空間の陰陽を彫塑するかのようです。

2008年には五島記念文化賞美術新人賞を受賞し、中国・広東省の象牙彫刻、イタリア・フィレンツェのマーブル紙、トルコのエブルアートに触れる機をえました。これらの工芸品では、異なる色彩や形状が交わって渦を巻き、古来よりさまざまな思考を導いてきた円形のせめぎ合いによって動き付けられています。自然界における有機的な形象やその運動を写しとってきた塩保にとって、円や渦の持つ象徴的な意味合いと生成・循環プロセスへの関心は、自然な帰着点といえるかもしれません。

「Cosmic Perspective」と題された本展では、こうした探求の成果として、自然現象や伝統工芸にみられる普遍的なかたちが、素粒子の生成から銀河の泡構造までの多層的なイメージとなって昇華しています。入念にトレースした線の集合が、光源をもつことで構造的に浮かび上がり、自然界のかたちと抽象的な想像をつなぐ空間のエネルギーを生成しています。

塩保朋子(1981年、大阪府生まれ)は、京都市立芸術大学で彫刻を専攻。2008年「Cutting Insights」 (SCAI THE BATHHOUSE, 東京)。主なグループ展に、2010年「MOTアニュアル2010:装飾」(東京都現代美術館)、2011年「バイバイ キティ !!! 天国と地獄の間で –日本現代アートの今−」(ジャパン・ソサエティ、ニューヨーク)、2012年「コズミック・トラベラーズ – 未知への旅」(エスパス ルイ・ヴィトン東京)、「ミス ディオール エキシビジョン」(2013年 グラン・パレ、パリ)(2014年 上海彫刻スペース、上海)ほか多数。

《cosmic perspective》2014年(詳細)撮影: 表恒匡
《cosmic perspective》2014年(詳細)撮影: 表恒匡