©Tadanori Yokoo photo: Tomoki Imai
©Tadanori Yokoo photo: Tomoki Imai

横尾忠則
「B29と原郷-幼年期からウォーホールまで」

2019年5月31日(金)- 7月6日(土)
開廊時間:12:00 - 18:00 ※日・月・祝日休廊

時代性を鋭く切り取り、独自の観点から作品を作り出している横尾忠則。常に制作活動がインターナショナルに注目され、またビジュアルアートから文筆活動まで幅広く才能を発揮しています。作品の特徴として、例えば「Y字路」シリーズに代表されるように、主題を反復させ、表現形態を自在に変化させながら展開させていきます。作品の数だけ表現が存在し、表現の数だけ「横尾忠則」が存在するといっても過言ではないバリエーションの豊かさは、美術史の知識や探究心から生まれています。

今回の展覧会には「B29と原郷 -幼年期からウォーホールまで」という意味深長なタイトルがつけられています。1936年生まれの横尾忠則は、幼少期に戦争を体験し、これまでの作品の中にも進駐軍や空襲の飛行機など、端々にその断片がモチーフとして現れていました。けれどもそれは戦争を意図的にテーマにしたのではなく、記憶や体験として自然に画の中に入り込んできていました。戦後の歴史とともに成長し、作品を制作してきた横尾忠則にとって、日本の現代史はそのまま自身の制作歴としてリンクしているといえます。本展で主に展示される作品は、人物画であり、マッカーサーのような戦後の歴史上の、または映画の主人公ターザンやアンディ・ウォーホルのような文化的な著名人たちが題材として取り入れられます。それらにいくつかの「Y字路」作品も組み合わされて、多層的な世界が作り上げられていき、いわば作家の戦中戦後の文化的体験が、本展にて総体的に回顧されることとなります。